「すごい事だよね。」と、カミさんが言った。


名古屋のトモダチの家を後に、我が家へと向かう帰途の車中で・・・。


日曜日の夜、高速道路は混んでいる。
慎重に運転しなければと思いつつ僕は、
にゃん?何がすごいんだ?と、カミさんに聞いた・・・。


「だってすごいじゃない、日本中に友達がいるんだもの。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


そりゃ、ね、
寮にいたからだよ・・・。


今じゃ鈍感な僕だが、
多感な頃もあった。
そんな多感な時期に、さ、
同じ釜の飯を食べていた。


そんな仲間が全国にいる。


たしかに、ね、
すごい事だよな・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「お義母さんもお義父さんも勇気があったわよね。
子供を遠くに預ける勇気。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


そうか。って、
僕は思った。


子供を遠くに預ける勇気は僕ら夫婦には、無い。


寮で過ごす高校生の君よ、


がんばれがんばれと僕はいつも思っているのだけれど、
君よりも強く、そして勇気があるのは、な、
間違いなく君のご両親だ・・・。


大変だろう。
遠い遠い所で暮らす日々。


でも、ね、
こうして大人になれば、さ、
日本中にかけがえのないトモダチがいるシアワセが味わえる・・・・


それは、ね、
すごい事らしいぞ・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


無事に帰宅。


僅か三泊の旅行だったが、なんだか我が家がとても懐かしく思えた。