誰よりも君をアイス。
ガサゴソ・・・、
ガサゴソ・・・。
冷蔵庫をガサゴソしながら、風呂上りの息子が言った。
「オレのアイスが無い!
父さん、食べただろ!」と・・・。
ええっ、父ちゃんは食べてないぞ!
「ひどい・・・。
どうして黙って人の物を食べたりなんかするの?」と、カミさんも僕に言った。
えええっ、食べてないぞ・・・、僕は・・・。
「だってあなたしか考えられないでしょ?」
ええええっ、確かにそれはそうだけれど、食べてないぞ・・・。
でも、なんだか不安になる・・・。
もしかしたら自分でも気付かずに食べちゃったのかも・・・。
「この間だってそうだったでしょ?
トッポもコアラのマーチも食べちゃったのはあなたでしょ?」と、カミさんは手厳しい・・・。
ううう〜む、
正直、息子のアイスなんて食べていないんだけれども、
ここは謝っちゃったほうが楽かも・・・。
どうしよう?
神様・・・。
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その時、
冷蔵庫をガサゴソし続けていた息子が、
「あった!」と言った・・・。
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話は、それっきり・・・。
なんだかな〜、僕はすごく寂しい・・・。
家族って何?
夫婦の絆って何?
親子の信頼って何?
ここはどこ?
ワタシは誰?
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冤罪とは、こうして作られるのだ・・・。
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息子よ、
そのアイスを父ちゃんによこせ!