アマリリス(人生に無駄な回り道なんて無いのさ。)
爽やかな気持ちで目覚めた朝、なぜだか僕の頭の中にはずっと、
アマリリスのメロディが流れ続けていた・・・。
♪ソッ・ラッ・ソッ・ドッ・ソッ・ラッ・ソ〜
ラッラッソ〜ラ〜ソファミレド〜♪ってな具合だ・・・。
爽やかな朝の目覚めに爽やかなメロディ、
今日も一日爽やかな親父として過ごそうと誓った・・・。
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だが、午前中から親友のサップが遊びに来てしまい、
爽やかだった気分が一瞬で吹き飛んでしまった・・・。
僕は、早く帰れオーラを全身から発散していたのだけれど、
ヤツはどっかりと仕事場のイスに座り、わっはっは!と寛いでいた。
サップはまた太ったみたいで心配だ。
僕のイスが心配だ。
イスが壊れちゃう・・・。
あまりにも仕事場の気温が上がり、
今年初めて僕は、エアコンのスイッチを入れた・・・。
糖尿と心臓と、その他もろもろ悪いと言う・・・。
本当に心配でたまらん・・・。
イスが壊れちゃう・・・。
「歩いて痩せようとしたんだけれどよ、
そしたらヒザを痛めちまってよ、悲惨だ・・・。」
なるほど、体重増加の負担がヒザに掛かってしまったんだな・・・。
サップよ、ピザって10回言ってみな・・・。
しかし暑い・・・。
暑い男だ・・・。
昔、サップは、ね、熱い男だったのに・・・。
すでに往年の格好いいスラッガーとしての面影は無い・・・。
打に関しては、そうだよ、
野球を愛する子供たちに聞いてほしい数々の名言があるサップだ。
だから痩せてほしい・・・。
もう一度グラウンドに立ってもらいたいと僕は思う・・・。
サップの息子は3歳。
学童野球を始めるまでに4年の猶予はある・・・。
それまでに痩せようよ、サップよ!
我が友よ!
黒豆と、あと、ね、
黒ウーロン茶のパックが我が家にある・・・。
持って行け!友よ!
それを持って早く帰れ!
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4年後のヤツを想う。
小学校1年生になった息子と手をつないで、な、
うれしそうにグローブを買いに行くヤツの顔を僕は想像する。
誰よりも格好いい親父に戻り、
野球少年になりたての息子の傍にいてあげてほしい・・・。
糖尿、心臓、ヒザ・・・。
心配の種は尽きないけれど、きっと大丈夫ダイジョーブ・・・。
ゆっくりのんびり健康になろう・・・。
人生に無駄な回り道なんて無いのさ・・・。
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回り道にも景色はあるのさ・・・。
その景色だって楽しみながら眺めようよ・・・。
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親友サップが帰った後、
再び僕の頭の中にアマリリスのメロディが流れ始めた・・・。
アマリリスってどんな花?