験担ぎの本当の意味。

父さんは今日、君が貯めた塁打数×100円のお金を募金して来たぞ・・・。
あの子供たちに、な、
本当の笑顔が戻るといいよな・・・。


「おう、ありがと。」と、
静かに語る息子の表情に、
僕が求め続けた本来の成長を感じる事が出来、
心から嬉しくなった・・・。


遠い遠い国の、
小さな子供たちの悲しみに涙せよ、野球小僧よ・・・。


貧しい我が家だから、な、
君の小遣いは少なくて可哀想なんだけれども、
だからこそ君が貯めたお金は生命を持つ。
生命を持って働いてくれるんだよ・・・。


生命を持ったお金を貯める行為を、理立てという。
巡り巡っていつか必ず、
君の元に戻って来るんだよ。


一粒の種が、さ、
何万倍もの実となって戻って来るんだよ・・・。


それを理解しておくれよ、
16歳の君よ・・・。


もしかしたらこれが、ね、
父さんが君に教えられるたった一つの野球なのかもしれない。


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ゲン担ぎって言葉を、人はよく口にする。
だが、存外、ゲン担ぎの意味を知る人は少ない・・・。


ゲンを漢字で書くと、験。
つまり、験担ぎが正解。


理を立て徳を積み、
訪れる不思議に感謝し続ける事。
それが本当の験担ぎになる・・・。


勝った日に着用していたパンツを履き続けるのは験担ぎではない。
さっさと洗濯しなさいって。


左右どちらの足からスパイクを履くかなんて、な、
験とは関係ない事だ・・・。
とっとと履きなさいってば・・・。


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本来の験担ぎの意味。
それを多くの野球少年たちに知ってほしい・・・。


そしてどんどん担いでほしい・・・。


野球が出来るシアワセな気持ちを、な、
多くの人と共有したい・・・。