中学時代の同級生を見掛けた。
自転車を漕いでいた。


彼は、学校で一番の不良だと呼ばれていた・・・。


たぶん、何かの職人さんなのだろうな、
グレーの作業着姿で、自転車を漕いでいた・・・。


自転車に付けた豆椅子に、
小さな男の子がちょこんと乗っていた・・・。


きっと彼の子供だろうな・・・。


彼は、豆椅子に乗った男の子に時々顔を寄せ、
話をしながら自転車を漕いでいた・・・。


優しい顔だった。
優しい顔だった。


優しく強い父親の顔であった・・・。


思い出の中の彼は、
パンチパーマなのだけれど、
こざっぱりとした髪になっていて、
それがとても似合っていた・・・。


豆椅子に乗った男の子は、ね、
とても可愛い顔で笑っていたよ・・・。


僕は、その様子がうれしくてうれしくて、笑った・・・。


いいなあ、
これからオマエは、さ、
その男の子とキャッチボールする日が始まるのだろうな・・・。


うらやましいよ・・・。