ルパンのテーマに想いを込めて。
男には、自分の世界がある。
たとえるなら、空を駆ける、ひとすじの流れ星。
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高校野球のスタンドでは、すっかりお馴染みの応援歌だが、その歌詞の意味は深い・・・。
彼にとってその歌は、
あこがれのあこがれの先輩のテーマ曲であった・・・。
二学年上の先輩。
強く大きく逞しかった先輩の背中をいつも見ていた。
いつか必ず、その先輩みたいになるのだと言い、
彼は毎晩バットを振った・・・。
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男には、自分の世界がある。
たとえるなら、空を駆ける、ひとすじの流れ星。
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その先輩は入学当時、
とても身体が細く、小さかったのだそうだ・・・。
だが、誰よりも食べ、誰よりも鍛え、
大きな身体と強い心を作ったのだという・・・。
その話を聞き、彼は彼の心に、希望の火を灯した・・・。
先輩みたいになりたい。
先輩みたいになりたい。
想いは熱を持ち、
ひたすら励もうとする彼の背中を押した・・・。
夜、ひたすらバットを振りながら彼は、
一体いくつ流れ星を見つけた事だろうか・・・。
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男には、自分の世界がある、
たとえるなら、空を駆ける、ひとすじの流れ星。
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あの夏、
その先輩は敗れた。
スタンドで応援していた一年生の彼は、
涙で滲む光の中で、
先輩の姿を胸に焼き付けていた。
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男には、自分の世界がある。
たとえるなら、空を駆ける、ひとすじの流れ星。
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その先輩は、去年の彼。
彼は、今年の君。
その先輩は、今年の彼。
彼は、来年の君。
その先輩は、来年の彼。
彼は、再来年の君。
その先輩の名は、かつて高校球児であった男たちすべて。
彼の名は、いま高校球児である少年たちすべて。
白球に賭けた青春よ、つながれ!
ダイヤモンドを駆ける青春よ、つながれ!
輝く伝統を創る者たちよ、君の足跡を誇れ!
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男には、自分の世界がある。
たとえるなら、空を駆ける、ひとすじの流れ星。