タワーで僕はハイになる。

日曜日に僕は、
生まれて初めて東京タワーに昇った・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


巣鴨で生まれ、
とげ抜き地蔵で産湯に浸かった僕だが、


44歳にして初めて、東京タワーに昇った・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


映画、「三丁目の夕日」の中で描かれていた昭和30年代の景色の面影は、展望台から360度を見渡しても見つけられなかったのだけれど、
それでも今、
そうさな、今っていう実体のあやふやな時間の姿ならつぶさに、
手に取るように見ることが出来た・・・。


人はありんこ、車は豆粒。


双眼鏡のレンズごしに見える世界は、
せわしなく小さく、それでも確かな呼吸をしていた・・・。


なんと市井の暮らしの様子の、愛しく柔らかで健気たる事であろうかと、


僕は、感慨しきりであった・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・


僕は、街が好き。
そして人が好きだ・・・。
あらためてそれを実感した・・・。


ありんこのように小さく見える人々のひとりひとりに、
かけがえのない人生があり、
それぞれに大切な人がいる・・・。


ちょびっと高い所から見下ろしただけで、ね、
人間は、ありんこみたいに小さく見えるような存在なのだけれど、
ひとりひとりの命は、この地球よりも重いのだとやはり僕も思うんだ・・・。


何気ない一日が何気なく過ぎる・・・。
僕はそれを、シアワセと呼びたい。


がんばれがんばれ!に・ん・げ・ん・・・。


フレー、フレー、人間!


高い場所から恐縮です。
見下ろしちゃってゴメンなさい。


み〜んな揃ってがんばりましょう!
我らは人間、霊長類!
おう!


映画、「三丁目の夕日」のテーマ曲が心の中に流れた・・・。


スバル360や、ダイハツミゼットが元気いっぱいに走りまわる光景が一瞬だが想像出来た・・・。


東京タワー、
昇ってよかった・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


くださいな、って僕はお土産売り場で言う。


東京タワーのペナントと、
タワーの形の貯金箱を買った・・・。


でも、ね、
努力とか根性なんて、ね、
貯金箱には書かれていなくてよかった・・・。