昨夜、結局ゴールデン街には行けなかった。


一次会の店を出て、迷惑な行為なのだけれど、店舗前に全員が集まり、飲み会の余韻を楽しんでいる場面・・・、
その後の単独行動を目論んでいる身にとって、静かにそ〜っと煙のように消えるためのタイミングを見計らう緊張の場面なのだけれど、
その時に僕は、家が同じ方向の親父仲間の一人が、ね、
かなり酔って足元フラフラである事に気付いたんだよ・・・。


うむ、放ってはおけない。
この仲間を捨て置き、一人でゴールデン街に行っても酔えんだろうし、後味悪かろう・・・。
花園神社の神様に怒られちゃうだろう・・・。
そう思って僕は声を掛けた・・・。


一緒に帰りましょう!って。


すると彼は、
「や、こりはこりはスミマセン。」と、僕に敬礼をした・・・。


大混雑の人波の中、
僕ら二人は新宿駅へ向かった。


彼は既に真っ直ぐ歩くことさえ困難な状態になっていて、
仕方なく僕は彼の肩を抱いて歩いた。


クリスマスのイルミネーションが華やかなりし新宿で、な、
何が悲しゅうてオッサンの肩を抱いて僕は歩いているのかと我が身の不幸を嘆きかけたが、いかんいかん、
この千鳥足のオッサンは仲間、
かけがえのないチームメートなのである・・・。


その後、一列にならなければ通れない場所で気付いたのだが、
オッサンの着ているコートの背中にベルトがあり、
そのベルトを掴んであげるとオッサンは真っ直ぐ歩けるのであった。


彼は酔ってはいたが新宿駅には詳しく、
僕は後方からコートの背中のベルトを掴んでいるだけで良いのでとても楽ちんだった・・・。


電車ごっこのようです。
運転手は君だ、車掌は僕だ・・・。


酔いながらも彼は熱く、
野球の話ばかりをした。


山手線の車窓から見えるネオンは星のようであった・・・。


少し世代は違うのだけれど、
本当に僕はこの親父仲間を愛しく感じた・・・。


いつかきっと、
この小さな忘年会の夜も思い出になり、
笑って話せるのだろうな・・・。


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お〜い、息子たちよ、
君たちは今、素晴らしい仲間たちになっただろう?


父ちゃんたちも、な、
君たちに負けないような仲間たちだぜ。