女手ひとつで3人の子供を育てた人がいる。
彼女は今月、長年勤めた職場で定年を迎える・・・。
旦那さんとの死別後27年、子供たちを守り、育て上げた彼女の半生の辛苦は、ね、
想像に難くないのだけれど、イイ・・・。
現在の彼女の表情は穏やかで、優しくて、柔らかで、イイ・・・。
結局のところ人生なんてさ、良い事も悪い事もぜ〜んぶ足して割ったら、さ、
シアワセ度数なんざみんな一緒なのだと僕は思う・・・。


既に立派に独立し、それぞれ家庭を持っている3人の子供たちが話し合い、
お母さんの定年退職を祝うプレゼントを贈ろうと決めた・・・。
尊い気持ちに僕は胸を打たれた・・・。

そんな気持ちを託されてしまった以上、
僕は、僕に出来るすべての技術と想いのありったけを込めて応える。
3人の優しい子供たちが優しいお母さんに贈る指輪が完成した。


喜んでもらえるといいなあ。
喜んでもらえるといいなあ。


子供たちから指輪を受け取る時、彼女はどんな笑顔を見せるだろう?
そう思うと僕も笑顔になるし、
子供たちの顔を見ながら彼女は感激して泣いちゃうんじゃないかと思うと、
なんだか僕も感動して涙が出そうになる・・・。


万感の想いを経て、ようやく僕自身が辿り着いた己の仕事に対する心の境地がある。
その心から僕は、確信を持って、振り絞るように言うよ、
・・・それが職人という者だ・・・。


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インド人宝石商のTくんにも伝えてやろう。
君から譲ってもらったダイヤは、ね、
お客さまの宝物になったぜマハラジャ!カレーハリハリ!って。


Tくんもきっと感激してくれるだろうと思う。
そして言うだろうな、
ナマステ!って、な。


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息子のチームメートたちにも既に言ってある。


いいか?
将来、君に好きな人が出来て結婚する時、
指輪はオジサンが造るからな!って・・・。


給料の4ヶ月分で、な!