激しく4

あ、ああ、すまん・・・。
あなたを傷付けるつもりはなかった・・・。


「やめてくれよ、ハゲは傷付きやすいんだ・・・。」


あ、ああ、すまん・・・。
心から詫びよう・・・。
ヒデとロザンナの名曲、「ハゲは傷付きやすく」を口ずさみながら・・・。


ハゲは傷付きやすい・・・。
ああ、確かにそうさ・・・。
頭部を保護すべくあるべき髪が無いのだからな・・・。


東京ドームで巨人戦を観戦し、
試合終了後、回転扉からドームの外に出る時、
吹き飛ばされたカツラを見てもこれからは笑わないやうにする。


ごめん、もう毛髪に関しては多くを語るまい・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ただ、野球の親父仲間、Mさんだけは別だ。


ハゲを漢字で書くと「禿」なのだけれど、
Mさんのハゲを漢字で書くなら「覇毛」だと思うからだ。


制覇の「覇」を用いて、「覇毛」。
もしくは、
派手の「派」を用いて、「派毛」。


これからも飲み会の度に僕は吸い付く事にする。


ナガタニエンのお吸い者だ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


今日、車を運転していた時のこと。


僕の車の前を走っているタクシーの後部座席に、ね、
ハゲのオジサンの後頭部(光頭部)が見えた。
そのオジサンの後頭部(光頭部)には、「無」と書かれていたよ。


だが、よく見ると書かれているのではなくて、
リヤウインドーに書かれた「無線」という文字の「無」が映っていたのだった。


次回、野球の親父の飲み会の際には、
ただ吸い付いてキスマークを付けるだけじゃなくて、
Mさんの後頭部(光頭部)にボトルキープ用のマジックインキで「無」と書いてみたい・・・。


そういう者に私はなりたい・・・。