床屋さんに行く。
「千円の床屋さんに行きなさい。」とカミさんから言われ、お金を渡された。
歩いてトコトコ床屋さんに行く。


何故に千円の床屋さんなのかと言うと、
この格好良いモヒカンを維持するためには短いスパンでの散髪が必要だからなのだ。


安心したまえ、千円の床屋さんだってきっと腕は確かだ・・・。
自分にそう言い聞かせて僕は床屋さんに行く。


しかし、千円ってのは安いな、安過ぎると言わざるを得ない。
デフレだな、デフレ・・・。


♪デフレ・フレフレ母さんが〜  
 蛇の目でお迎え嬉しいな〜♪ってか?
うむ、蛇の道はヘビーなりけり。


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夏休みなので、ちびっこがいっぱいで混んでいた。
だが、偶然にも僕は同級生のMくんに会う。
混み合う店内、大人は僕とMくんだけだ・・・。


大企業に勤めるMくんは、ちょびっと早めのお盆休みなのだと言う・・・。


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散髪を終え、Mくんと昼飯を食べる事にした。
お互い、積もる話はたくさんある・・・。


「いいなあ、モヒカン・・・。」
Mくんは僕の頭を見ながら言った・・・。


残念ながらMくんの頭頂部は開墾されているのでかわいそう・・・。
あえて僕は髪型の話題に触れないようにしていたのだが、
素直にモヒカンを羨ましがるMくんの人柄の良さにあらためて感じ入った・・・。
いいヤツだと思う・・・。


側頭部にグルリとU型便座を巻きつけたような髪型のMくんよ、
それはそれで逆モヒカンや横モヒカンと名付ければいいじゃないか、とか、
オバケのQ太郎に出てくるカミナリさんみたいでいいじゃないかとは言えなかった・・・。


ただ、
スキンヘッドにしたらどうだ?
せっかく髭は濃いのだし、スキンヘッド&髭ならワイルドだろ?モテるぜって言ってあげた・・・。


「職務上、それは無理だ。」と、Mくんは寂しそうに笑った・・・。


僕は、ブレッド&バターの名曲の歌詞を思ったよ・・・。


♪フォ〜ユアセルフ〜 フォ〜ユアセルフ〜 
 シアワセのカタチ(髪型)に拘らずに〜 
 人は〜 自分を〜 生きていくのだから〜♪


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ケッケッ毛!