先日、ふざけて息子とじゃれ合いながら背丈を較べた。
「父さん、アゴを引けよ、アゴ」なんて言われながら背丈を較べた・・・。
嬉しく切ない事であった。
2cmだよ、2cm、僕は息子よりも小さかった・・・。


縮んじゃったのだな、
縮んじゃって僕は、息子よりちっちゃくなってしまったのだな・・・。


息子が高校野球を終えた日、
僕は、息子をグラウンドにて肩車をした。


「父さんがギックリ腰にならないかと心配したよ。」


息子は、その時の様子を語る・・・。


ああ、まったくだ。
僕自身がギックリ腰にならなくてホッとしているのだからな、
息子の言う心配は的を得ていると言えよう・・・。


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親友、シマさんと飲む。
息子であるシマちゃんの様子を語るシマさんの表情が暖かく切ない・・・。


いいヤツだ・・・。
いいオヤジだ・・・。


シマさんよ、僕らは既に子育てを終えてしまったのだな・・・。


オヤジって切ないな・・・。
特攻隊員だった尊き少年たちは皆、
最期は「お母さん」と呼びかけたそうだ・・・。
最期に「オヤジ!」って言ったヤツはいない・・・。
オヤジとは、その程度の存在なのだろうな・・・。


シマさん・・・。
君と飲んでいるとホッとする・・・。
たとえば、小学生の頃のな、
チャリに乗って出掛けた先の駄菓子屋さんで、な、
飲んだ60円のスコールみたいな味が君と飲む酒の味にはする・・・。


疲れていないか・・・。
疲れていないか・・・。


チャリに乗って秋ヶ瀬公園へザリガニ釣りに行くかい?
小学生に戻ってな・・・。
ザリガニじゃなくって時々ウナギが釣れてな、
そうすると母さんがとてもとても喜んでくれるのさ・・・。
ウナギが釣れたら君にあげる。
君の母さんは喜んでくれるだろう・・・。
そのかわり、野球スナックのカードで大杉勝男が出たら僕にくれな。


チャリに乗って出掛けよう・・・。
君といると僕は、小学生になる・・・。
あの黒いチャリンコに乗り、遠くへ出掛けたくなる・・・。


サップだろ、シマさんだろ・・・。
僕らのケツのポッケにゃ、な、
2B弾が入ってる・・・。

46歳のくせに、な、
そんなダチがいてくれる事が嬉しくてたまらん・・・。


疲れていないか?
あと少しだけ頑張って走ろう・・・。
46歳になってしまった少年の僕らよ・・・。