将来どんな職業に就きたいのかと僕が尋ねたのは、
息子が高校2年生の時の、ちょうど今頃だった。
軽い気持ちで僕は尋ねたのだけれど、
息子が語ってくれた「希望」は、「希望」などではなく「夢」に近いものだったので驚いてしまったものだ。


それは、まさしく、
軽い気持ちで何気なく鼻くそをほじっていたら、
想定外の大きな大きな鼻くそが指先に付着して出て来たような驚きであった・・・。


昨年は息子に春は来なかった。
仕方あるまいと思う。
なにしろ高校3年の夏まで野球漬けでさ、勉強なんてろくにしていなかったんだもんな・・・。


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今年は春が来るだろうか?
息子に春は来るのだろうか?


高校野球にたとえると、な、
順当に予選をとりあえずは勝ち進んでいるといったところ・・・。


父親として僕に出来る事は無し・・・。
ただ、野球をしていた時と同じだ。
グラウンドの外から、なあ、
ずっと見ていてやって、なあ、
心の中からエールを贈り続けてやるだけだ。


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新生児の頃から息子はひどい喘息持ちで、
1歳の誕生日を迎えるまでに二度も入院をした。
親としては切なくて切なくて、
夜、僕ら夫婦が病室を後にする時の、
「置いていかないで!」と言わんばかりに、なあ、
ベッドの柵にしがみ付いて泣き叫ぶ赤ん坊だった息子の声は今でも頭から離れん。


数年後、幼稚園で息子はヨーケンスポーツクラブのサッカーに入った。
でもなあ、サッカーは走りっぱなしの激しいスポーツだろ?
順ぐりに出してもらえる試合の中でもさ、
すぐに両膝に手を置いてゼコゼコ呼吸している姿もまた切なかった。
切なかった切なかったよ・・・。


小学校で野球を始めて、少しずつ少しずつ丈夫になったんだよな・・・。
野球というスポーツのお陰さまだったと僕は思う。
地域で触れ合える学童野球のお陰さまだったと思う。


その間も定期的に通院はしていて、
主治医の先生と野球の話をするのが幼い息子の楽しみであった・・・。


「オレ、あの先生みたいになりたいんだよ。」
それが僕が尋ねた言葉に対する息子の言葉だった。


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勉強って何だ?
学ぶ事の意味って何だ?
この1年、その「夢」に向かって勉強を続けた息子に、
あらためて勉強って何だ?
学ぶ事の意味って何だ?と問うてみたい。


試験を突破するためだけの「知識」ではなく、
あらゆる場面に於いても活かせる「知恵」を得る事なのだと答えられたら合格なのだけれどな・・・。


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重い話題で恐縮。


さて、鼻くその続きをほじくろうかい。
僕は。