それは使っちゃダメだってばよ。

それは使えないだろ、って言うか、
それは使っちゃいけない物なんじゃないか?と僕が言うと、
「いや、使わないわけにはいかないだろう。」と、清瀬ポニー前ヘッドコーチ、シマさんが言う。


でも、僕だったら使わないよ、
大切に保管しておいて時々眺めてニマニマする。
って再び僕が言うと、
「オレだって本当はそうしたいけれど、アイツの手前、使わなくちゃならない。」とシマさんは答える・・・。


う〜ん、う〜ん、
使うべきか?使わざるべきか?
真剣に真剣に考えちゃう問題だよな・・・。


え?何の話だってか?


あのね、シマさんは、ね、
トモゾウ(息子)から財布を買ってもらったんだよ、
その財布をどうすべえ?って話さ・・・。


僕だったらな、もしも息子が給料で財布なんて買ってくれちゃったらな、
ありがたくてありがたくてきっと使えないって思う。
そもそも財布なんかだったら中に入れる身(銭)が無い、わはは・・・。


しかし、シマさんよ、君はシアワセな親父だ・・・。


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トモゾウよう、
君が頑張って修行をして技術を覚えて稼いで、
そんでもって財布を買ってプレゼントして、
見てごらんよ、ほらほら、
君の父ちゃんはこんなにシアワセそうな顔をしてる・・・。


働くってきっと、こう言う事だ。
勉強ってきっと、稼ぐ技術を覚える事だ。
君が君の父ちゃんをシアワセな顔にしたんだぜ。


素晴らしい事じゃないか・・・。


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使っちゃダメだって言ってるだろっ!って、僕の声は大きくなる。
まったく解らねえ男だなっ、使うな!その財布・・・。


「使わないわけにはいかないだろっ!」って、シマさんの声も大きくなる。


まったくオトナゲ無いな、我々・・・。