ファミリー

「父さん、頼むよ。」と息子に言われて、最初は断った。
頼むよじゃないだろ?お願いしますだろ?
言ってみな、お願いしますって。って言ってやると、
「父さん、お願いします。」と息子は言い換えた・・・。


あ?
声が小さくて、よ〜く聞こえなかったな。
もうちょっと大きな声で言えるかな?
心を込めてお願いします!ってな・・・。


「父さん、ドコモショップへ一緒に行って下さい、お願いします!」
わっはっは!よし、いいだろう・・・。


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勉強に励んでおり、難しい言葉を随分と使うようになった息子だが、
けっけっ、まだ自分だけでは携帯電話の機種変更すらできないコ・ド・モだな。
わっはっは、ドコモじゃなくてコドモだね。


そんなやり取りがありつつドコモショップへ。
故障&不具合が続いていた息子の携帯電話を換えに行った・・・。
本音を言うと、それで僕もカミさんもホッとしている・・・。
いざとなった時、繋がらなかったら困っちゃうからね・・・。


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ふと思うのだが、
いつまで僕ら家族4人はファミリープランの携帯電話でいられるのかな?


それは、家族4人で食べる夕食の数があと何回だろうって考える気持ちに似てる。


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それにしても料金の、な、
割引プランがあまりにも複雑で、
まったく理解出来ねえな・・・。


「ではここに、お父様のサインをお願いします。」ってね、
ドコモショップのお姉さんに言われてボールペンを渡された・・・。


ただ、僕の右腕は今、ブラブラでボールペンを持つ事が不可能。
よって、息子に代筆を委任した・・・。


何枚かの用紙に、僕の名前を漢字でフルネームで書く息子の様子が不思議であった。
僕よりも綺麗な字で書いていた。


たぶん、こうやって将来、
爺さんになった僕の死亡診断書とかを長男として書くのだろうな・・・。


携帯電話はいずれファミリープランではなくなるのだけれど、
いつまでもファミリーである事に変わりは無いんだよな・・・。