セイント銭湯

♪ばばんば ばんばんばん
 ばばんば ばんばんばん♪
な〜んてね、こんな平日の夕刻前に銭湯に来てて申し訳ない。
現在メッキ屋さんに品物を預けていて、その出来上がりを待つ間に僕は入浴シティセレナ〜デです。
墨田区のど真ん中、いい風情の下町にある、昔ながらの銭湯です。


♪ばばんば ばんばんばん
 ばばんば ばんばんばん♪
オッサンになったからでしょうか?
最近ね、本当に熱いお湯に浸かる事が気持ち良くてしょうがない。
やっぱりお風呂は熱いに限る。


先日なんか家のお風呂の湯温を43度に設定したところ、家族から大ブ〜イングを受けた。
「熱くて入れない!」と愛娘。
「ヤケドしちまうだろうが!」と息子。
まあな、若い人たちは肌が敏感なのだろうから致し方あるまいて。


夕方4時の銭湯の、ホレホレ、湯船に浸かっている僕らを見てみなよ、
総勢11名、40代は僕だけで、他の皆さんは70代以上ばかりなりけり。
たぶん湯温は45度位あるんじゃないだろうかと思うのだが、皆さん涼しい顔だ。
気持ち良いぞ、熱い風呂。


♪ばばんば ばんばんばん
 ばばんば ばんばんばん♪


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あと数年経つと、
実に日本人の3人に1人は65歳以上の高齢者になるのだという。
夕方早くの銭湯にいると、それを本当に実感する。


僕は冷蔵庫からコーヒー牛乳を出し、
お代を番台のおばあちゃんに渡す。


お代をお渡しする時、
ちょびっと爪先立ちをして気になる向こうを見ようと試みるも無駄だぞやめときな。
昔ながらの銭湯の番台は本当に良く出来ていてな、
そう簡単には向こうのジェンダーは見えんのだ。


もっともな、見えたって仕方ないのだ。
あまり嬉しくないのだ。
壁の向こう側のジェンダーだってな、
こちら側とほぼ同じ年代の方々しかいないのだ。


全裸のまま、扇風機の風があたる場所に腰掛けて、
深く目を閉じてグデッとなっているお爺さんがいるぞい。


・・・生きてるかい?


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さて、
仕上がった品物を受け取り、
帰途につくとしようか・・・。


夕刻の下町を吹く風が心地良い・・・。