爺スポット

昼下がりの西武線
池袋から所沢方面へ走る電車の窓から見える景色は長閑(のどか)。
車内はちょうど良い温度で、日向ぼっこをしているかのような気分でゆったりまったり・・・。


今の電車はさ、ガタンゴトンじゃなくってさ、本当にスイ〜ッて音だけがするから静かちゃんだ・・・。
寝過ごさないように気をつけながら僕は目を閉じる。


座席に腰を掛け、寝るでもなく起きているでもなく、
ただただホゲ〜っと夢心地・・・。


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ひばりが丘駅で停車すると、お爺さんが乗ってきた。
すると、
「どうぞ。」と、僕の隣の隣に座っていたお爺さんが席を譲った。


おおっ、僕はボンヤリしていたから先を越されてしまったので残念・・・。
こう見えて僕は、お年寄りに席を譲るのが好きなタイプの男なんだよ。
ああ悔しいな〜、先を越されちゃったぞ、しかもお年寄りにだ・・・。


だが、
お爺さんに席を譲られたお爺さんは少々ムッとした表情になり、
「結構。」と言った。
たぶん、お爺さんは、お爺さんから席を譲られた事がショックだったのかもしれない。


お爺さん同士、もっと仲良くすればいいのにな・・・。


これからの高齢化社会
席を譲りたがるお爺さんが増えると僕は考えていた。
今それを間近に見て、それは確信に変わり申し候。


G1「ワシの方がアンタより足腰丈夫なんだもんね。」
G2「何を!ワシの方がアンタより若いはずだもんね〜だ。」
G1「つべこべ言わず譲られたら座らんかい!」
G2「年寄りから席を譲られるほど老いてはおらんわい!」
と言うお爺さん2名の心の中の声がハッキリと聞こえる・・・。


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僕は黙って席を立つ。
目配せでどうぞと屹立するG2を席へいざなうNOW。


だって東久留米駅に到着したから降りるのだ。


たまたま降りた人がいて空いた席ならG2だって座るに抵抗なかろうもん・・・。


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疲れる時代だな〜。