酒について

久しぶりに会う先輩は変わり果てていて、50歳を前にして老人のようになっていた。
現在、彼はアルコール依存症という病気と闘っているところ・・・。
家族とも別れて、一人で暮らしていたアパートで衰弱していたところを幸運にも知人に発見されて入院に至った。


ちょうど僕の息子の一つ上とひとつ下の男の子たちがいて、
その子たちは息子と同じく野球小僧であったものだからさ、
父親がお酒で壊れていく姿をな、兄弟はどんな想いで見ていたのだろうかと考えると胸が痛い。


僕は、既に一生分の酒を飲み終えてしまった男である。
この先輩の姿は、もしかしたら鏡に映る僕なのではないかとも思う。
省みるいくつかの場面のタイミングが少しでもずれていたら、こうなっていただろうな・・・。


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アルコールは水銀と同じで、人間の体内に入ると「蓄積毒」となるのだそうだ。
肝臓はその毒を分解するために細胞分裂を繰り返すのだけれどそれには限界があり、
肝炎から肝硬変、そして肝臓がんへと移行して死に至る。
そしてそれに平行してアルコール依存症があり、脳みそも壊れちゃう・・・。


飲み方の問題?
ああ、そうだよね、ごもっとも。
かつて浴びるように飲んでいた人間である僕にはグ〜の音も出ない。


でもね、だからこそこれは知っておいてほしい。


人間が一生涯で分解出来るアルコール量は、
男性で500kg、女性で250kgである。
え?
膨大な量じゃないかってか?
しかしな、日本酒四合瓶(ワイン1本相当)のアルコール含有率は100gなんだ。
毎日それを飲んだとすると、男性でも14年で許容量オーバーだ・・・。


それを理解しておいてさ、ここぞの場面で楽しくお酒が飲めたらいいんだよ・・・。
一生分を飲み終えちゃった僕だからこそ言える事だ。


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今日は妹の結婚式だ。


酒、
僕は乾杯の一杯さえ飲めない兄よ。