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成人式を終えたばかりの君らが、まだ赤ちゃんだった時、
そうだよ、阪神淡路大震災があった。
19年前の今日の事だ。
朝起きてテレビをつけて、僕は画面の中の惨状に目を覆った。
これは本当に現実なのだろうかと、東京郊外の朝は普段とあまりにも同じであったものだから、
いつもと同じように朝食を摂り、そして仕事机に向かったのであった。
ただ、いつもと同じラジオが流す、いつもと違うニュースの重さに次第に胸が潰れて痛くなった。
痛くて痛くて、
痛くてたまらなくなった・・・。
神戸の長田や垂水には、仲の良かった同級生がいてね、
遊びに行かせてもらった事もあるその街が炎に呑み込まれる映像を見て、涙が零れた。
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胸が潰れて痛くなる。
見知らぬ誰かの痛みでさえも、聞くと僕は胸が潰れて痛くなる。
そして、どうしようもなく悲しくなる。
僕は、それが僕の弱さだと思っていたのだけれど、
そんな弱さを克服したいと考えていたのだけれど、
それはどうしてもどうしても直せない性格なのだから、
僕は、それを自身の在るべき姿だと受け入れる事にして、
それからを生きている。
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胸が潰れて痛くなる。
見知らぬ誰かの悲しいニュースを聞くと、僕は胸が潰れて痛くなる。
でも、胸が痛くなるのは僕だけじゃない。
多くの人が僕と同じように、胸が痛くなる事を僕は知った。
弱いのは僕だけじゃなくて、多くの人が僕と同じように弱いのだという事を知った。
それを教えてくれたのは神戸の、震災であった。
僕は、人間が好きだ。
それを教えてくれたのは神戸の、震災であった。
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あれから19年の歳月が流れた。
僕は未だに弱いままだ。