当世堅気々質

ハタチから21歳になるこの1年だ。
そのまま普通に大学生になった若者たちへアドバイスを送る事など僕には出来ないのだけれど、
いわゆる職人という道を選択した若者たちへなら、幾つか言ってあげられる事がある。


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ちょうど3年目だろ?
君が この道に入ってから、さ。
この3年目が一つ目の壁だ・・・。
どんな道の職人であってもな・・・。


「この仕事はオレには向いてないのかも。」なんて思い始めているだろ?
でもね、
たとえ君に この仕事が向いていなかったとしてもだよ、
なっちゃったんだから致し方あるまいよ。
続けるしか選択肢は無いんだ・・・。


この仕事が自分に向いているか向いていないかなんてな、
それを理解して仕事をしている職人なんて一人もいないよ。
向いていたか向いていなかったかなんてえのは、な、
死ぬときになって初めて解るものだ・・・。


第一、
まだ職人になって3年ぽっちの君が任されている仕事は、よ、
バイトくんにだって出来る内容じゃねえか。
そんな段階で向き不向きが解る筈は無かろう・・・。


今逃げてみろ、
尻尾を巻いて逃げ出してみろ、
君は何者にもなれないぞ・・・。


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僕は、上記の言葉を、
ちょうど21歳の時に僕の親父から言われた。


その時職人を辞めていたら、
僕は、仕事を転々と変える男になっちまっていただろうと思う・・・。


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職人と呼ばれる世界で働いている元野球少年だった若者たちの状況を、な、
いろいろ聞いて矢も盾も堪らず一筆啓上奉った次第。


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え?
そのまま普通に大学生になった連中が楽しそうに見えて仕方ない?


あのね、
人生ってね、
不思議と最終的には帳尻が合うようになってるんだよ。


人を羨む事なかれ。