一人の医師を育成するために掛かる経費の総額は、実に1億円以上なのだそうだ。
国公立はもちろん、私学の学費等でも到底及ばぬ大きな大きな金額だ。
その大きな経費は、国からのお金で支払われているのだ。
国からのお金とは、すなわち税金なのだ。


息子の入学式後の、父兄向けのレクチャーで僕はそれを聞いて驚き、
思わず姿勢を正して椅子に座り直した。


公のお金を使って頂きながら学ぶって事は、
医師とは全て公僕(こうぼく)であり、公に尽くす責務があるという事だ。
たくさんの人々から想いを託された、責任重大な道を生きねばならんという事だ・・・。


息子たちの学校の場合、
1年間に一人当たり1700万円もの血税が使われる。


感謝の念と初心を忘れず、更に必死に学んでもらいたい・・・。


将来、世の中に恩返しをするんだ。
その恩返しの方法はただ一つ、
病気を診るのではなく、病人を診る事の出来る医師になる事だ。


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親として、それを聞けて良かった。


もうヒポクラテスって親方にな、
見習い職人の丁稚小僧として弟子入りしちゃったセガレだからな、
煮て食おうが焼いて食おうが好きにして下さいって言う腹は据えてあったのだが、
万が一、ひん曲がろうとした時には意見してやれるからだ。


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世のお医者さんたちよ、威張っちゃダメよ。
公僕とは、公(おおやけ)の僕ちゃんなのよ。