〜夫婦で買い物に出掛けた先での事〜


カミさんが僕の顔を指差して、
「ああっ!蚊がとまってる!」と、大きな声で言った・・・。


えええっ!どこよ?どこ?
自分の顔は自分じゃ見えんぞっ!
早く教えてっ!刺されちゃう!


「オデコっ!オデコの真ん中!」


うわあああん、適当に自分で自分のオデコをバチン!
手の平に、かすかながらも確かなる手応えあり!
見事に僕は蚊をツブせたぞ!
まさしく夫婦の連携プレーだ・・・。


蚊がオデコにとまっているのに教えてくれなかったり、
逆に、何も言わないでいきなり叩かれるよりも良い。
カミさんの咄嗟の判断に素直に感謝する他無い・・・。


めでたしめでたしと思った途端、蚊がとまっていたあたりが強烈に痒くなった。
ちょうど眉間の上のところ、お釈迦様や千昌夫さんのホクロのあるところ。
そこが痒い、強烈に痒い・・・。


今は亡き蚊に刺されたところが痒いのは、悔しいかぎりだ・・・。


・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・


そこを掻く。
眉間の上を右手の中指で僕は掻く。
ポリポリと掻く。


なんだかな、思慮深い人のように見えるんじゃないか?
端から僕を見ると・・・。


実際にはただ痒いから掻いているのだけれど、
額に手をあていろいろ考えている人に見えるんじゃないか?


かもよ。