晩秋、日没前の散歩

この季節の夕焼けの時間は、懐かしい煙った匂いがするよ。
僕は、そう感じる。
どこかでさ、今でも集めた落ち葉を燃やしているのかな?
ふわりふわりと漂う、それは晩秋の日没前の香り。


手がかじかむ感覚。
耳の先っちょが冷たくて痛くなる感覚。
ピ〜プ〜と吹く北風・・・。


そうだよな、やっぱり北風はピ〜プ〜と吹くんだよな。
パワ〜 トゥ〜 ザ ピ〜プ〜だな。


寒いけれど懐かしくてあたたかい・・・。
そんな季節だね・・・。


・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・


数名の小学校中学年とおぼしき男の子たちが、
「じゃあね!」と手を振り合いながら、自転車でそれぞれ家路に着く。


僕は犬のタロウを肩に乗せて、そんな子供たちを見ている。


お〜い、
慌てずゆっくりと帰れよ・・・。
車に気をつけてな・・・。


子供たちを見ながらね、最近強く強く思うんだよ。


もっとゆっくり大きくなりなって・・・。
もっとゆっくり大きくなればいいのにって・・・。


子供が子供でいられる時間を楽しみながら、さ、
もっともっとゆっくり大きくなりなよって・・・。


・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・


夕焼け小焼けのチャイムのメロディ。
北風に吹かれてカピカピに乾いた鼻水。
その鼻水を無意識に拭いたであろう輝くセーターの袖。


いつの時代も男の子の姿は同じだ・・・。


・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・


さてと、我々も家に帰ろうぞ、タロウよ。


ダックスフントは肩に乗せるとマフラーみたいにあたたかい。