それは、僕が小学2年生の時の事だ。


当時、ピンポン・ダッシュが大流行していて、
仲間と一緒に僕もピンポン・ダッシュをよ〜くやったものだ。
もちろんその頃はまだピンポン・ダッシュなんて言葉は無くて、
ただ よそのお宅の呼び鈴をピンポ〜ン!って押して、ダッシュして逃げるだけであった。
考えてみれば、ピンポン・ダッシュとは、ズバリそのもののネーミングであるな。
ものすご〜く ものすご〜く 迷惑な行為である。


僕な、捕まったんだよ。
ピンポ〜ン!って押した瞬間にドアが開いてオジサンが出て来てさ、
首の後ろを捕まれて、「 コラっ! 」って怒られた。
恐くてな〜、恐くてな〜、泣いて反省したもんな・・・。


僕が現在のような人格者になれたのは、そのオジサンのおかげさまだ。


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幼馴染みのOくんのオフクロさんがやっている喫茶店で、
今年も僕が作った品物の展示をさせて頂いているのだけれど、
今日、
そこで、
件のピンポン・ダッシュの僕を捕まえたオジサンが亡くなったという話を偶然聞いた。


捕まって怒られて反省したのは幼児の時だが、
その後も大人になるまでちょくちょく顔を見掛けては、笑顔で挨拶する間柄であったからね、
そのオジサンの訃報はショックだった・・・。


享年72歳。
癌で、手術中の心肺停止であったとの由。
慎んで御冥福をお祈りする・・・。


それにしてもなあ、
親世代の方々が次第に世を去る事は哀しいな。


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僕が捕まり、
あと、Wくんが車にぶつかり(幸いにも軽傷)、
それでピンポン・ダッシュのブームは去ったのだった・・・。


41年前のピンポン・ダッシュの僕を捕まえた時、
オジサンは31歳であったのか・・・。


叱ってくれる世代の方々が減っていくのは寂しい事だよ。


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合掌。