時々・・・、だが、
眠りの中で繰り返し見る夢がある。


東久留米の駅から家に向かって黒目川沿いの遊歩道を歩いていると、
川の向こう側を若い頃のカミさんが幼い子供たちを自転車に乗せて走っている。


ハンドルに着けたイスには1歳ぐらいの息子が座り、
後ろの荷台に着けたイスには3歳ぐらいの娘が座り、
風に髪をなびかせた20代のカミさんは勢い良く自転車を走らせている。


お〜い!って僕が呼びかけても聞こえないみたいで、
一瞬にしてカミさんと子供たちは走り去ってしまう・・・。


そんな夢だ・・・。


・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・


アニメ映画の、「 おおかみこどもの雨と雪 」は、胸に刺さる。


僕らや、僕らよりも少し上の年代の、
子供たちを巣立たせた後の父親たちの胸に刺さる。


あの映画の中の母親と子供たちの姿は、たまらなく愛しくて切ない・・・。


僕ら父親は、一体何が出来たのだろうか。
愛しくて切なくてたまらない者たちのために、
僕らが何をしてあげられたのだろうかと考えずにはいられない。


子供を守り、育てられる時間の、
あまりの短さに今、愕然とするばかりだ・・・。


・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ 


今度あの夢を見たら、
全力で僕も駆けて、
子供たちを乗せたカミさんの自転車を追いかけてみようと思う。


・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・


おおかみこどもの雨も、
おおかみこどもの雪も、
しっかりと自分の意志で、それぞれの道へ巣立って行った・・・。


子供が巣立ってしまった後、
そこに残っているのは何なのだろうか・・・。
静寂か?
淋しさか?
愛しくて切ない思い出か?


・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・


ソメイヨシノの満開の花の下で、
50歳間近になった僕ら夫婦はベンチに腰掛けている。


我が家の雨と雪が巣立った世界を案じながら、
幼い日の雨と雪の姿を思い出として抱きしめ続けて、
寄り添いながら過ごそうか・・・。


春、
旅立ちの季節、
残る側の者たちの胸には、愛しく切ない思い出があれば充分だよね・・・。


・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・


50歳間近の夫婦です。


それにしてもカミさんよ、
直射日光の下でお互いの顔を見ると、
結構ツラいものがありますな・・・。


にんげんだもの