吉祥寺にて用事を済ませ、
車を停めたパーキングまで歩いていた・・・。


路地なのだが結構な人だかりで賑わっていてね、
僕もその中に混ざって歩いていたんだよ。


その時、
パッパーッ!と、いきなり大きなクラクションを鳴らしながらタクシー(空車)が突っ込んで来た。
歩行者は皆びっくりして肝を冷やしてさ、まるでモーゼの十戒のようにそこに道が出来た。
(・・・元々道だがな・・・。)


僕なんかはさ、ホレホレ、
こう見えてもこんな性格だからさ〜、
轢かれなくて良かったな〜、
メデタシメデタシって思って再び歩き出したのだけれど、
なんと、大きくて恐そうな男の人がタクシーの前に立ちはだかったので驚いた。


立ちはだかった男の人はタクシーに向かって、
「 なんじゃコリャ〜ッ! 」と叫んだのだ・・・。


「 なんじゃコリャ〜ッ! 」ってセリフは、
太陽にほえろ松田優作さんの殉職シーンでお馴染みだが、
実際に街の中でリアルなセリフとして聞いたのは初めてだぞ・・・。
初めてなの、やさしくしてネだ・・・。


今度はタクシーの運転手さんがびっくりしてな、
かわいそうに怯えていて、
その男の人に向かって合掌してゴメンなさいのポーズをとった。
車の中で何度も何度も頭を下げる様子が気の毒であった・・・。


「 降りて来いっ! 」って、
激高した大男はすごい剣幕で怒り続けている・・・。


・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・


こんな時、
僕はどうすればいいのでしょう?
大男をなだめようとして、
こちらへ矛先が向かってきたらどうするアイフル


オロオロしながら群衆の中で事の顛末を見守るしかなかったのだ。


ただ、
心の中でその運転手さんに向かって語り掛けた・・・。
降りちゃダメよ、
車から絶対に降りちゃダメよ!って・・・。


おまわりさんが駆けつけてくれるまでの辛抱だよ・・・。


僕は、そ〜っとそっと、その場を離れた・・・。


僕は弱虫になったのだ・・・。
アラフィフだもの・・・。


・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・


いきなり大きなクラクションを鳴らして人混みに突っ込んで来たタクシーも悪いが、
その運転手をこんなして脅している大男も決して正義では無い・・・。


・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・


キレやすい人が多くなった時代だと言う。
注意深く気をつけて生きなくてはなりませんな・・・。