ナースであるカミさんは夜勤。
そして娘は不在である夜に、
僕は息子と外で晩御飯を食べる事にした。


おい、何か美味いモンを食べに行こうぜ!って、な。


チェーン店ではあるが、焼肉屋さんへ行った。


長〜いカルビと長〜いハラミを、
息子が焼きながらハサミでチョキチョキ切ってくれたのだが、
その手際の良さを見ながら僕はハッとした。


息子よ、
オマエ、今、焼肉は平気か?
すまんな、父ちゃんの配慮が足りなかった・・・。


「 あ?
何を言ってるんだよ、ぜんぜん平気だよ。
それよりモツやホルモンも頼もうよ。 」


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強いな、オマエは・・・。
父ちゃんなんか昔、
母ちゃんと付き合っていた頃の話なのだけれど、
血のしたたるようなレアのステーキを食べている時に、な、
当時まだ看護学生だった母ちゃんが手術室の実習の話をしやがってさ、
レアの素敵なステーキが食べられなくなっちゃった経験がある。


こう見えて父ちゃんは食に関してはヒジョ〜に繊細な神経の持ち主なんだ。


あと、
テレビの番組で大騒ぎをしながら料理を作るオバさんがいるだろ?
レミさん料理はとても美味しそうに見えるけれどたぶん相当な量の唾も入っているだろうと思うと、
間違いなく父ちゃんはアレ、食べられないと思う・・・。


「 修行が足りないな〜、父さんは。 」
と言いつつガンガン食べる息子を見て僕は、
息子の心配よりも財布の心配をするべきであると感じた。


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医学部2年生が焼肉を食べられなくなっちゃうと言うのは、誤った都市伝説だ。


「 最初はホルマリンで鼻がグジュグジュになって目が沁みてたまらなかったけれど、もう大丈夫。 」との由。


もしかしたら下痢の話をしながらカレーだって食べられるんじゃないだろうか。


男の子は、母親に似るんだね・・・。