プロ野球愛 3

西武ドームですよ僕は今一人で・・・。
スタジアムを吹き抜ける風が心地良いですな、ここは。
ご近所のKさんが熱烈なライオンズファンで、
都合が悪くて観戦に行けない日のチケットは全部我が家に下さるのでありがたい・・・。


カキーン!だっ、
わっはっは〜っ、内容の濃いゲーム展開だ。
なにしろ両チーム共、CS進出を賭けて必死だもんな。
必死の想いがひっしひっしと伝わってくるんだ、なんちゃってな。


またまたカキーン!だっ、
もうね、隣の席の見知らぬオジサンとハイタッチしちゃってる僕だ。
メガホンも貸してもらってるし、
しっかり今日はライオンズを応援するしかあるまいよ・・・。


・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・


「 ・・・、ボ〜ル。 」
あ〜あ、フォアボ〜ル・・・。


すると、
えええええ〜っ!と、主審のジャッジに球場がどよめいた・・・。


ライオンズファンのみならず、
千葉ロッテのファンからも悲鳴が上がった・・・。
球場全体が一丸となったブ〜イングってさ、
49歳の僕にとっても初めての経験であった・・・。


それもそのはず、
マウンド上の西口文也投手は、これが最後の投球だったのだからな・・・。


ボール!ってさ、主審がジャッジしたのだから確かにボールなのだろうけれど、
ストライク!って言っても納得出来るような、そんな際どい球だったんだぜ・・・。


「 空気を読めよな〜っ! 」と、
僕の隣の席のオジサンは叫んだ。


そうなんだよ、この球場を包むブ〜イングは、
何万人もの「 空気を読め! 」って声の集合体なんだね・・・。


たぶん、この主審は、
ボール!ってジャッジをした後に、
「 ああっ、しまったっ!西口はこれが最後だったんだっ! 」って気付いたに違いない・・・。
「 あああっ、オレは、何て事をしてしまたんだぁ〜っ! 」って心の中で叫んだに違いない・・・。


にんげんだもの


間違いなく主審のファウルカップの中は、
スカスカに成る程な、縮み上がっちゃっているだろう。
そう思うと気の毒でならない・・・。


にんげんだもの


僕なんかは昔、
学童野球で塁審をしていた時、
「 セーフ! 」ってジャッジしたら「 ええ〜っ! 」って言われちゃってさ、
「 じゃあアウト! 」ってやっちゃったものだから反対側からも「 ええ〜っ! 」ってなっちゃって、
大変な目に遭った事がある。


にんげんだもの


更に僕なんかは昔、
ポニーリーグで塁審をしていて打球の直撃を受けて、
帰途につく際、拍手で見送られて泣きそうになった経験まである。
はるばる出掛けた新潟でだぞ。


にんげんだもの


いろいろあるさ、いろいろね。
この主審を許してあげてと僕は西口投手に言いたいよ。


にんげんだもの


・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・


それにしても面白いゲームだったな。
セ・リーグの正統派レスリング的なゲームを見慣れている身にしてみれば、
パ・リーグのショーアップされたプロレス的なゲームは堅苦しい事抜きで楽しめる。
オススメです、トコロザワ近隣にお住まいのみなさんよ・・・。


またチケットをもらったら今度はカミさんと来よう。


帰途、ハンドルを握りながら僕は、
ライオンズの応援歌を口ずさんでいた。


気分は松崎しげるさんだ。
愛のメモリーだ。
野球に対する愛の目盛りだ。


なんちゃって。