嗅ぐとフワッと甘い、それはそれはイイ匂い・・・。
とても優しいイイ匂いがする・・・。


同窓会の時、
「 これをオマエに渡そうと思って。 」と、
同級生の 林業王子 こと、Mくんが、檜の枝を薄く切ったコースターをくれたんだ。
本当にね、優しく甘いイイ匂いがするんだよ・・・。


「 匂いが薄くなったらね、ペーパーをあてれば復活する。
  木は、永遠の物なんだよ。 」
木の話をするMくんの表情がとても素晴らしくってね、
そんな同級生が誇らしくて嬉しくて、こうしてクンクン嗅いでいる。


イイ匂いがして蕩けそう・・・。
クセになりそう・・・。


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天職を得てイキイキと生きる姿。
人間にとってそれが、いちばん大切でシアワセな事なんだよね。
偉いとか、偉くないとかじゃなくってね、
どれだけ自分らしく生きているのかって、それが大切なんだよね。


32年間、
Mくんだって良い事ばかりではなかったはずだよ、
キツイな〜って感じる事や、辛い事だってたくさんあっただろうと思うよ。
でもね、
それを乗り越えて飲み込んで、木 は、Mくんの天職となったんだろうな・・・。


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檜のコースターを、
僕は僕の仕事で仕上げに使う1500番のペーパーで磨いてみた。
おおおっ、
それだけでMくんが言っていた通り、良い匂いが濃くなったよ・・・。


Mくんの仕事と僕の仕事が、
ほんの少しだけれど重なったような気がして嬉しいな・・・。


同窓会では多くの同級生からさ、
「 オマエは今、何をしてんねん? 」って尋ねられ、
結局32年間、職人として食べているよとしか言えなかったけれど、
この檜のコースターの優しい匂いは、
それでイイんだよって言ってくれている気がするんだ・・・。


僕は、この仕事が天職なのだもんな・・・。


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18歳で現在、
職人として働きはじめたばかりの若い人たちにエールを贈ろう。


乗り越えて飲み込んで、自分の仕事を好きになる事だよ。
そうすれば君の道は、必ず君の天職になるよ・・・。


そうして生きてきた50歳の僕らが言うのだから間違いないよ。
ふんばれ・・・。


檜って、
若木の頃の呼び名は、
翌檜(あすなろ)だったよね。


檜には明日なればいい。