駅前ロータリーを歩いていたところ、
横断歩道の向こう側にいたお爺さんが転倒するのを見た。
杖をついてはいたのだけれど、お爺さんは足がもつれたように転んだ。


駆けつけて僕は背中を抱きかかえて起こした。
人はまばらだったが、
お爺さんの所へ駆けつけたのは僕を含めて4人もいた。
まだまだ世の中は捨てたモンじゃないなと嬉しかった。


気の毒に眼鏡が折れて割れていて、
額から少し出血していた。
一人の女性がハンカチを出してお爺さんの額にあてた。


「 救急車を呼びましょうか? 」と一人の男性が声を掛けると、
「 救急車は呼ばないで下さい。 」とお爺さんは答えたので少々心配。


そこへ交番からおまわりさんが来てくれて、
僕とおまわりさんでよっこらしょとお爺さんを立たせた。
痛い腰と背中がイテテテテとなったが、
僕よりもお爺さんの方が痛いだろうから致し方あるまい・・・。


お爺さんとおまわりさんとハンカチの女性で交番へ行く事になり、
その姿を見送りながら他の僕らは散会した。


・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・


老人は、こんな風に転ぶ。
ああ、本当にな、倒れるように転ぶ。
切なくて悲しいな・・・。


転んだ瞬間のお爺さんの様子を思い出すと、
倒れているお爺さんの表情を思い出すと、
涙が出る・・・。


横断歩道近くの僅かなスロープでもお爺さんは転んでしまうよ、
バリアフリーの街づくりの難しさをあらためて感じた・・・。


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お爺さんが無事に家へ帰れますように・・・。