この遊歩道を、
いつも手をつないで歩いているお爺さんとお婆さんがいて、
チャーミーグリーンのコマーシャルみたいで微笑ましいなと僕は思っていた。


一度声を掛けて話をしたところ、
認知症の症状が進む奥さんを気遣いながらの散歩であると知り、
そのご主人の大きさや優しさに胸を打たれた。
思っていた通りのチャーミーグリーンなご夫妻であったのだ。


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そのご主人が今日は一人で歩いていた。


挨拶をして伺ったところ、
奥さんは二月に亡くなったとの由。


「 もっともっと彼女にしてあげられる事があったのではないかと毎日悔やんでいます。 」


それは、
とても優しい言葉であったが、
とても重たい言葉でもあった・・・。


大切な人を失う悲しみについて、
考えられるけれど感じられない弱い僕がその言葉を聞いた。


とても静かだけれど深い慟哭の前で僕は立ち尽くす。


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ソメイヨシノの蕾が大きく膨らんでいた。