通勤ラッシュの時間帯に、
駅前ロータリーを車で横切らねばならなかったのだが、
助手席に座っていたカミさんが、
「 あっ、Aくんだわ。 」と、
注意深く徐行運転をしている僕に言った。


えええっ、と見てみると、
駅へ急ぐ人たちの中の、
とびきり立派な男性がAくんであった。
スーツ姿の、いかにも仕事が出来そうな若いビジネスマンといった姿であった。


Aくんは娘の同級生である。
小学校に入学した当時、
小さな娘の隣に座っていた小さな男の子がAくんだったのである。


誕生日が来れば26歳になるのだから、
立派な大人になっていても全然おかしくはない。
おかしくはなくて、嬉しい。
なんだか感激しちゃってな、目がウルウルとする。
運転中なので気を付けなければ・・・。


考えてみるとだな、
赤いランドセルの小さな女の子だった娘と、
黒いランドセルの小さな男の子だったAくんがな、
新1年生としてソメイヨシノの花の下を歩いていたのは20年前の事となる。
ああ、20年なんて時間の流れもまた、本当にアッと言う間だな・・・。


真面目で頭の良かったAくんが、
学童野球では息子の2学年上の投手であったAくんが、
こんなにも立派なビジネスマン姿になっているのだもんね、
それがただただ嬉しい・・・。
嬉しくて叫びたくなっちゃうね、このオジサンは。
ガンバレ〜!って。


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僕らが26歳だった頃の、
僕らの親たちの年代に、
僕らがなってしまったって事でもある。


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夫婦の年齢を合わせると100歳を超える。
なんか映画を安く観られるらしいよ。


婆さんよ、
今度、映画を観に行かないか?