高速道路の整備が進み、
僕らの若い頃と比べりゃあちこちアッと言う間に着いちゃう。
所沢インターから軽井沢なんて本当に近いもんね、今では。


だが、僕の場合は、
あえて安中で降りて碓氷峠を昇る道が好きだ。
景色が綺麗な事は言うまでもなく、
峠道を助手席のカミさんにキャーキャー言わせながら走るのが面白いからだ。


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峠の麓にセブンイレブンを見つけて小休止。
飲み物やお菓子を買い込む。
お店はトラックの運転手さんや営業車の営業マンの人たちで賑わっていた。
ちょうどみんなお昼休みなのだね・・・。


店外にある灰皿の前で僕は一服。
ちょうどレジ横のコーヒーマシン前でコーヒーを淹れているカミさんの姿がガラス越しに見えるのだが、
僕と並んでタバコを吸っていたオジサンが、
グヘヘといった感じの表情でカミさんを凝視していたシゲシゲと。


まあいいや、許そう。
たぶん五十路美熟女と認定してくれたこのオジサンにコーヒーを奢ってあげたい。
にんげんだもの、人として。


グヘヘ オジサンと並んで僕もガラス越しにカミさんを見る。
結婚27年になるのだけれど、な、
言っちゃ照れ臭いけど、
でも言わせてもらうけど、
ああ綺麗だな〜、可愛いな〜って思うね、今でも。


拝啓、十五歳の僕よ、
オマエはバカばっかりやってはっきり言ってダメなヤツだが、
こ〜んな美人と人生を共に歩めちゃう果報者になるぞ。
地球が誕生して45億年。
45億年の中にはいろんなオジサンがいただろうけれど、
オマエはトップ10入りする位のシアワセなオジサンになるぞ。
エッチな本をトモダチと一緒に見てる場合じゃないぞ・・・。
人として。


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一方、
久しぶりに走る峠道にワクワク・ドキドキした。
楽しかった・・・。
マニュアル車で走った若い時代の楽しさの半分ぐらいの楽しさだけれど、
それでも51歳のオジサンとしては本当に楽しかった・・・。


現在の若い人たちは、あまり峠道を攻めることは好きではないのだそうだ。
そう聞くと世代間格差を感じてしまうのだけれど、
この楽しさを伝えられなかった僕らの世代の責任なのかもとも思う。


新型カムリのテレビコマーシャルに、な、
僕が昔々乗っていたクルマが一瞬映る。
アナタが昔々に乗っていたクルマも一瞬映る。
あのコマーシャルのターゲットは、僕ら世代のオジサンたちなのでしょうな・・・。
新型カムリ、恰好イイな・・・。


現在の若い草食系男子の皮カムリな連中には、理解出来ない恰好良さだろうな、新型カムリ。


けれど、
悲しいけれど、
51歳になっちゃうと、
峠道を攻める楽しさを味わう丁度良い大きさのクルマが、
ヴィッツだったりもする。


にんげんだもの