楽しい事があると今でも僕は、
この話をクマおじさんに聞かせてやろうと思ったりしていて、
ああ、でもクマおじさんはもうどこにもいないんだと気付いて、
寂しく悲しく愕然となったりする。
大切な兄貴分の死を、僕は未だに受け止められてはいないんだよな。


心臓がツキツキと痛むので、
車をコンビニの駐車場に停めてシートを倒して休んだ。
間違いなく僕は、この心臓がある日突然パンクして逝くのだと思う。
しばらく右手で心臓を撫でていて、ようやく落ち着く。
こうして自分の身体と折り合いをつけながらこの先を生きるのだろうな。


心臓を撫でながら僕は、
懐かしい人たちを思い出していた。
この世ではもう会う事の出来ない人たちの顔を思い浮かべていた。
その人たちとまた会えるのだと考えると、死は恐くはない。
ただ、残りの分の生を、もう恥ずかしい事は重ねずに歩まなければなるまい。


・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・


ようやく気付いた。
今頃になって気付いた。


大切な事って、繰り返し繰り返し気付かされる。


僕は、やっぱり愚鈍な者だ。


・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・


今日も目覚めた。
朝に目覚めた。


寝床から起きる時にはイテテテテだが、
今日も精一杯生きよう。


このいつもと変わらぬ僕の今日だが、
あの懐かしい人たちが生きたかった未来の中の一日なのだもんな。