二十歳になって初めての選挙で、
僕は、心の中である候補者を応援していたんだ。
この人に僕の一票を入れようって。


投票日を目前にしたある日、
その候補者の事務所から偶然に電話が来て、
「 アナタの一票を是非、〇〇へお願いします。 」と言われた。


とても嫌な気持ちになったのよ・・・。
なにしろ僕は天邪鬼だからな・・・。


僕な、
その電話のせいで、決めていたその候補に投票しなかったんだよ。
投票へは行ったけど、二番目に応援していた候補者に入れた。
ものすご〜く悔しかったな、若気の至りだったと今では思うけれど。


なんだかな、
その候補に投票しちゃうとだな、
その電話の人に言われたから投票したんじゃないかと思われるのが癪だったのよ。


自分が心の中で決めた候補者に、
自分自身の意志で投票したい。
それは僕の権利でしょうが・・・。


選挙戦で苦戦して、切羽詰まっちゃっているとしても、
知り合いに電話してお願いしちゃうなんて事をしてはダメよ。
知り合いならまだしも、なあ、
電話帳を見て片っ端から電話をかけるなんて事は絶〜対にダメよ。
それは、誰かの心の中に土足で踏み入るようなものよ・・・。


・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・


今回の選挙では、
な、なんと録音テープでの投票依頼の電話が1件あったぜ。
電話代が勿体ないでしょうに・・・。
なのですぐに切ってあげたよ、ガチャン!って。


他にもいろんな党から電話がありましたな・・・。


オジサンの声で電話が来ると、
「 もう決めています、ゴメンなさい。 」と言って切り、
オネエさんの声で電話が来ると、
「 は〜い、応援していますぅ! 」って言って切り、
その人とは違う心の中の候補者への想いは守り続けられるようになった51歳。


僕の中にもようやく民主主義が芽生え始めましたってところ。


・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・


投票へは行きなさいよ。


・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・


大雨みたいだけれど行きなさいよ。


って、
僕に言われたから行くんじゃないかと嫌な想いにはなりなさんなよ。


アナタはアナタの意志で足で投票所に行くのです。


にんげんだもの
権利を有する者なのだもの。