偉くなんてならなくていい。
強くなんてならなくていい。
僕は思う。


ただ楽しめばいい。
生きている事をただ楽しめばいい。
シアワセだなぁ〜って感じられる小さな出来事を積み重ねて、
そのシアワセ感を心の中に貯金して、
そして笑顔で逝けたら人生はオッケー牧場だ。


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棺の中の同級生の顔は穏やかだった。
なんだかクスクスと、笑いをこらえているかのような顔であった。
仲間たちで交わしている懐かしい思い出話を、
彼は間違いなく一緒に聞いているのだと思わせてくれるような表情だった。


あまりにも突然なので信じられなくて、
こんな顔を見れば尚更それを信じたくなくて、
お別れを言いに来たはずの僕らだが、
誰もお別れの言葉を言えなかった。


起きろよと声を掛ければ、目を覚ますのではないか?
レマン湖とかシリアナ高原だとか、
昔、一緒になって笑った言葉をガラス越しに囁いたとしたら、
ププッと吹きだしてむっくりと起き上がるのではないか?
そう思えてならなかった・・・。


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52歳になる年だ、まだ逝くのは早い。


けれど、
いい人生だったな、って、言ってあげたい。


心の中に貯金したシアワセ感は、ね、
それを持って天国へ行けるんだよね。