バッテリーなのさ。
スポーツ刈りでスポーツ新聞を買いに行く。
ワシってば本当にスポーツマンな親父だニャ〜。
朝日を浴びたコンビニの窓ガラスに、ワシの姿が映っている。
おお!スポーツ中年団って創ってみたいにゃ〜。
スポ中!なんちゃって。
窓ガラスに映る自分の顔にむけて微笑んでみた。
すごく気持ち悪かった。
「おはよう!」声を掛けてもらう。
ケンさんの奥さん、ノリさん(今年40歳・・おっと失礼!)だった。
しばらく立ち話。
現在、「自分が自分であるため」に闘っている、真ん中のお姉ちゃんの様子を聞く。
彼女は道を自分で選んで転校を決めたと言う。
しっかりと親子で話し合い、深くうなずいたケンさんの顔が浮かんだ。
ずっとワシは、ケンさんと親父付き合いをしながら思っていた。
ケンさんはキャッチャーなんだ。と。
3人の娘は、ね。
きっとピッチャーなんだ。
ケンさん親子はバッテリーのようだ。
親子って、そんな感じでいられたらいいなぁ。
子供がマウンドに立っている。
親父はホームベースの後ろで、ミットを持ってしゃがんでいる。
子供にとっての最善を考えてサインを送る。
結局はそれしか出来ないのだけれど。
首を振ったり、強くうなずいたり・・・・。
その時々で子供にだって考えがある・・・・。
実際に球を投げるのはピッチャーなんだ。
親はしっかりと受け止めてあげるしかない。
おお!親父の「心のミット」だ!
それすら出来ない親父の事を、ミットもないって言うのかもしれない。
上手い?今日のワシ。
座布団何枚くれますか?
さすが落研ってか?
ワシもしゃがんでミットを構えている。
息子も少し成長して、マウンドも遠くになった。ほんの少しだけ。
ワシはハヤトにサインを送った。
「敬遠しちまおうぜ!本当の勝負はなぁ、まだ先だ。」
ハヤトは頑なに首を振り続けている。
「直球を投げるのか?」
少し大きくなった息子がとても遠くに見える。
こんな場面で勝負するのか?
ストレートを投げるのか?
笑いながら息子は、うなずいている。
仕方ないなぁ。ワシがそんな男に育てたんだ。
勝とうな。