イモ食ってプ〜。

「いやん、ワタシが見に行くとハヤトは打てない・・・。」
そんな言葉をカミさんは口にする・・・。
たしかに、な、振り返り思い出してみるとだな、
学童野球の頃からずっと、息子が試合でカキーン!と打つ姿を、カミさんはあまり多く見ていない・・・。
でもそれは、カミさんの誤ったジンクス・・・。
カミさんが多く見ていないんじゃなくって、
息子が多く打っていないって事が正解なのだと僕は思う・・・。


ジンクスは、百害あって一利なし。


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同様な言葉を、多くの野球小僧を持つお母さんたちからも聞く・・・。
「ワタシが声援を送ると必ずエラーをするんです。」とか、
「ワタシが見る試合に限って負け投手になっちゃうんです、必ず・・・。」なんてね、
異口同音にお母さんたちは言う・・・。


ちなみに、神戸の甲子園に出る高校のエースの母たちについて調べた記録がある。
その記録によるとだな、
息子が投げる試合をスタンドで観戦する母は、
一試合平均、体重が2キロ減るそうだ・・・。
わっはっは、究極のダイエットだと言えよう・・・。


今年の夏の神宮でもな、父母会席の中で周りの人たちにペコペコしている投手の母たちを多く見た。
「ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、ウチの子が甘い球を投げてごめんなさいっ・・・。」
「スミマセンっ、ううっ、ワタシのせいですう・・・、ヘナチョコボールは・・・。」
見ていて気の毒なほどだったぞ・・・。


投手の母だけじゃない・・・。
野手の母だってそうだ・・・。
母の気持ちとは、そうだな、
到底我々親父たちには理解出来ないものだ・・・。


父よりも、な、母の方が愛情は深いのかもしれないな・・・。


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だが、僕は言おう、
愛情深い野球小僧を持つ母たちに言おう・・・。


僕:「あのね、落ち着いて・・・。
   落ち着いて見ていなさいって・・・。
   あなたがイモを食べたって、あなたの息子はオナラをしません。」って。


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でもね、そうだな、
息子がイモを食べると、お母さんってさ、オナラをしちゃうんだろうな・・・。


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父親ってのは逆で、
スコーン!と打たれた投手の父ちゃんが、
ニコニコと笑って息子を見ながら頷いていたりする・・・。


よく考えてみるとだな、息子の野球で痩せちゃった父ちゃんはいない・・・。


自分で食ったイモは自分でオナラにする。
それが父親の姿だ・・・。


父ちゃんの愛と母ちゃんの愛、
カタチは違うのだけれど、いいかい?野球小僧たちやい、
愛されていないヤツなんていない・・・。
それを忘れずにグラウンドに立て!


ばっち来い!
カキーン!だ・・・。


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カミさんがお茶当番でグラウンドに居る。
息子が打ったと僕にメールが届く。
な、息子は自分で食ったイモでオナラをしてるだろ?と、
僕はカミさんにメールを返信しようと思う・・・。


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カミさんよ、
グラウンドは寒いだろ?
お茶当番ご苦労様です。
焼きイモ食べたいだろ?


結婚19年、
僕は一度もカミさんのオナラの音を聞いた事は無い・・・。