誕生日に贈る言葉。

元日。
息子は今日、16歳の誕生日を迎えた・・・。


15歳まで人は、誰もが親の「徳」の庇護のもとに在るのだと、以前に僕は聞いた事がある。
まこと理に適った内容の話だったので胸に深く納めていて、
16歳の誕生日を迎える日に、それを息子に話そうと決めていた・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


16歳から人は、いよいよ自分自身の「徳」で生きる・・・。
学業も野球も、友との付き合い方でさえも、そうだ・・・。
しっかりと自分の力で「徳」を積み、真実に豊かな人生を歩んでくれと僕は願う・・・。


男とは、荒れた大海原の波間を漂う一艘の小船のようなものである・・・。
どんな男だって同じなんだよ・・・、
偉大に見えるヤツも、強そうに見えるヤツも、同じ、
誰もが哀しいほどに小さな船みたいな存在なんだ・・・。


高い波が押し寄せる方向に船首を向け、決して沈んではならない・・・。


君は今日、父さんの小さな船を降りる。
そして君は、君という小さな船を出航させなくてはならないんだ・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


現代の若者である君たちが生きる未来は、ね、
想像すら出来ない程の厳しい時代になりそうだ・・・。


だが、そんな事は言い訳にしかならないんだ・・・。


いつの時代もな、
もともと人生の海なんざ大荒れなんだからな。


安定など、この世の何処にも存在しないのだと知れ。
人生の海が凪ぐ日など有り得ないんだ・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


しっかりとしっかりと「徳」を積め。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


年初の、しかも誕生日に贈る言葉としては厳しいかもしれない・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


16歳の君よ、
16歳になった僕の息子よ、


覚悟は出来たか?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「おもしろき事も無き世をおもしろく」


これは、長州の志士、高杉晋作の辞世の句である・・・。


たとえどんな状況にあったとしてもな、
そこにシアワセを探せ・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


強く生きよ!