台風去りて

ものすご〜い風であった。
ものすご〜い雨であった。
ものすご〜い台風であった。

あんな物やこんな物、
そんな物まで飛ばされていて、
アスファルトの上は、おもちゃ箱をひっくり返したみたいであった。

ふと思う、
2011年の震災以降、
僕らは自然の脅威の前で、謙虚でいようと語り合ったものだが、
現在、少しずつ少しずつ謙虚さを忘れていやしないだろうかと。

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夕刻前に雨は上がり、
風はまだ強かったけれど僕は外に出てみた。

ベレー帽をかぶったドングリが路上にたくさん落ちていた。

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どこからか金木犀の香りがした。

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一雨毎に秋は気配を強くする。