メトロ紀行2

地下鉄に乗り、向かった先は茅場町
広大な駅の中を、出口付近の主要な建物の名前が書かれた案内板を頼りに歩く、てくてく。


たぶん、これらの出口だってさ、
おそらく工事の人が適当に開けた穴だと思う。
程よいバランスであちこち地上へ穴を開けたんだよね、きっと。


その穴からさ、ひょっこり顔を出してキョロキョロして、
「お〜い、何が見える〜っ?」って言う地中の仲間の声に、
「え〜っとね、ああ、Aデパートが見えるよ。」と答え、
「じゃあ、この穴はAデパート方面って事にしよう。」ってなったんだろうね。
そこから概ね100メートル位の場所にも地上へと穴を開けて、ハシゴで昇ってひょっこり顔を出してキョロキョロして、
「お〜い、今度は何が見える〜っ?」って言う地中の仲間の声に、
「あのね、目立った建物は無いんだけれど、あの大きな道路はB通りだと思う。」と答え、
「じゃあ、この穴は、B通り方面出口って事でイイよね。」って繰り返したんだろうな。


うんうん、
うんうん、
昔の人は本当に偉いよね・・・。


地上への穴を開けたらさ、そこが大きな川の底だったりなんかしたらたいへんだよ。
水がダダ〜ッと流れ込んできてさ、
せっかく掘った地下鉄が台無しになっちゃう危険だってあったワケよ。


うんうん、
うんうん、
そんな危険を冒してまで、こんだけの数の穴を地上へポコポコ開けたんだぜ、
昔の人の勇気に僕は脱帽しちゃうね、
実際には帽子は被ってないから心の中でね・・・。


昔の人のおかげさまだ。


だからこうして現代を生きる我々は非常に楽に目的地へと到達出来るんだよね・・・。
ありがたいありがたい・・・。


しかし地下鉄ってえのはさ、奥が深いね。
地下だもんね、底だって深いやね。


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2日に分けて記述したものだから、
よっぽど遠くへと僕が来ているように思われるかもしれない。
でも、東久留米から茅場町まで、所要時間は1時間足らずでしょよう(所要)よ。
なんちて。


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はて?
地上へ出たのはいいのだけれど、
仕事のために人と待ち合わせた場所がサッパリと解りませんな。


とりあえずタクシーに手を上げて停まってもらう。
乗り込んで僕は行き先を告げる。


「えええっ!そこですよ、
その角を曲がったところですよ。」と、
タクシーの初老の運転手さんは仰った・・・。


「お金はいいです。」と、
僕が払おうとした初乗り運賃を頑なに受け取らなかった。
とても親切な運転手さんだ。


だが、僕だってな、人様のご親切を無料で享受するタイプの男じゃないのよ、
受け取ってよ、
「イイです。」
受け取ってよ、
「イイです。」
受け取ってよっ!
「イイですってば!」
と、なってしまったので、
先ほど駅構内の売店で買った冷えたペットボトルのコーヒー(未開封)を貰ってもらった。


まだまだ世の中は捨てたモンじゃない。


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待ち合わせ時間に遅れたのは、そのためです。