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娘の結婚式のために新しく買ったベルトは不良品だった。
本革の結構な値段がするオヤジベルトだったのだが、ダメ物だった。
挙式当日の朝の式場で、
先方のお父さんと僕と息子の3人は行動を共に過ごしていて、
小用を足すために連れ立ってトイレに行った際、悲劇が起きた・・・。
小便器の前に立ち、いざベルトを緩めようとしたところ、全く可動せず、
むしろキツく締める側へのみバックルは動いた・・・。
まるで大昔のアニメのマジックベルト状態になった・・・。
って言うか、もはや尿意は最大マックスですぅ~・・・、で、
そこへベルトをキツくしてしまってはまるで罰ゲームのようでツラくてツラくて・・・、
僕は顔色も青くなり、脂汗かきかき必死に耐えた・・・。
息子と先方のお父さんで僕のベルトを外そうとしてくれたのだけれど、
徐々にまた締まる側へのみバックルは動き、状況は更に悪化した。
うううっ、もう出ちゃう・・・、
このままだと僕は、娘の結婚式の日に涙ではなくオシッコを流した花嫁の父になっちゃう・・・。
半ばあきらめかけていた時に息子が機転を利かして式場の支配人さんを呼んでくれた・・・。
大きなニッパーでベルトを切り、無事に用を足せた・・・。
結婚式の日にベルトを切るなんて縁起が悪いのではと一瞬は思ったが、
先方のお父さんの誠実さや優しさを僕は知り、絆を築けた結果となった。
このお父さんは最後まで僕を見捨てようとはしなかった・・・。
そうよ、そうそう、
孫が生まれたら僕らは爺ちゃんズのバッテリーを組む間柄なのだ。
いつの日かみんなでディズニーランドへ行ったら、分担してアトラクションの順番待ち係をしなくちゃいけない相棒なのだ・・・。
その人がこんなにも誠実な人だと解り、僕は嬉しくなったのだ・・・。
娘をよろしくお願いします、嫁として可愛がって下さいと、初めて心の中で彼に言った・・・。
小用を足し終え、支配人さんを含む4人で僕らは握手とハイタッチ。
今思うと、誰も手を洗っていなかったのだけれどオッケー牧場な出来事だった・・・。
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なので本日、
新しいベルトを買った・・・。
もうフォーマルじゃなくても良いので、
ブルーの革の編み込みタイプにした・・・。
コレは、リーバイスに良く似合う・・・。
オシャレなオヤジ・・・。