ザ・ダイソーにて

ビニール袋やら文房具やら、プラスチック製の容器やら・・・。
結局のところ、買うのはこんな物ばかりなのだけれど・・・。
僕ら夫婦はちょくちょく利用する。
100円ショップ、「ザ・ダイソー」・・・。


100円ショップに行く度、今でも僕は胸がチクチクと痛む・・・。
え?何でかって?
だってさ、こんな物が100円で売っていたらおかしいぞ・・・。
絶対になぁ、どこかで誰かが泣いているんじゃないだろうかって思う・・・。
そう。人件費が安いってだけの理由でね、中国の山間部あたりでさ、
ああ野麦峠」みたいな工場で作っているんじゃないだろうか?
若き日の大竹しのぶさんのような少女が、身体を壊しながら作っている品物じゃないのだろうか?
う〜む。
それを買っている我々は罪深いぞ。
いつかかならずバチがあたるような気がする。バチッ!てね・・・。


泣きそうになりながら100円ショップで買い物をする僕・・・。
そんな日本人だっているって事を中国の人々にも知ってほしい・・・。


でも楽しい。
100円ショップ、ザ・ダイソーでの買い物は楽しい・・・。
大いなる矛盾なり。人として苦悩する。
人は皆、悩んでるタール人。
致し方あるまい。
よじ。


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100円ショップ、ザ・ダイソーで商品を選んでいるカミさんの横顔・・・。
本当に愛しいと思う・・・。可愛い・・・。
結婚する前、唯一僕が買えた1980円の赤い靴を宝物にしていた頃と変わらない顔だ。
苦労ばっかりでごめんニャ〜。
何でも好きな物を買えよ。ってね、今なら言える・・・。
なにしろここは100円ショップなり。



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まだ20代前半だと思われる母親がいた・・・。
おおっ!珍しいぞ!バッテンおんぶで男の子の赤ちゃんを背負っていた・・・。
ちっちゃな男の子。生後半年ぐらいだろうか・・・。
いいでしょ?バッテンおんぶ。
見てくれじゃないんだね、愛情一杯の姿なんだ・・・。
人生そのものがバッテンの僕が言うのも恐縮だけれど・・・。
おんぶがいい。きちんと両手が使えるからね・・・。


「ママー!」
おしゃまな2歳ぐらいの女の子がクレヨンを持って彼女の所に走ってきた。
ちっちゃな女の子はね、英語の歌を唄いながらはしゃいでいた・・・。
A・B・C・D・・・・って・・・。
バッテンおんぶのお母さんは、しゃがんでクレヨンの箱を女の子と一緒に見ていた・・・。


「わーい!うれしい!」
ちいさな女の子がね、クレヨンの箱を持って踊っていた。
きっと大切に使うんだろうなぁ・・・。


100円ショップにだってさ、宝物は売っているんだよね・・・。


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カミさんも彼女たちの姿を微笑みながら見ていた・・・。
僅か前のカミさんの姿と同じだった・・・。


ちっちゃな娘の手を引いて、
もっとちっちゃなハヤトを背負っていた・・・。


あっと言う間だった・・・。
2人共、中学生になってしまった・・・。


早かった。
夢中になって生きていたからね・・・。


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懐かしいね。
懐かしいね・・・。


現在、ちっちゃな子供さんを育てているお父さんやお母さんたちに言ってあげたい・・・。
大変かもしれないけれど、それはね、あっと言う間・・・。
すぐに寂しくなっちゃう・・・。
大変な今を楽しんでほしい。
おおらかに、ゆっくりと・・・。


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え?カミさんよ、何を言う・・・・。


君の子育ては終わらないのか?


なに?


永遠の3歳児がいる?
ものすごく手が掛かる・・・?


僕?