かくありたいものだ。

仕事場の収納棚を整理して見つけた。
あったあった、これこれ・・・って。

額縁の中、書かれている言葉は、旅立ちの日に僕自身が書き、寄る辺としていたものだ・・・。
しかし汚い字だが・・・。
落款のひとつでもこしらえて押してあればなかなかの書になっただろうか?
そんな事を考えながら笑った。


仕事を覚え独立する時、僕は不安でいっぱいだったのだ・・・。
バブル景気はとっくに弾けていたし、
右肩上がりの経済成長は終焉間近だと言う事だって直感的に感じていた・・・。
そんな背景の頃の独立だったからね、恐くて恐くてたまらなかったんだ・・・。


どう生きるべきか?
何を信念として生きるべきか?
僕は、僕の頭でずっとずっと考えていたんだよ・・・。


こんな心を持って生きよう・・・。
こんな考え方を続けて生きよう・・・。
自分の中で誓った事をひとつひとつ、僕は短い文章にまとめた・・・。


長いこと仕事部屋の壁に飾り、毎日読み返していたものだ・・・。
不思議と勇気で心が満たされたのだった・・・。
家を修繕した時に仕舞い、最近はすっかりとその存在すら忘れていた・・・。


久しぶりに手に取り、あらためて読む。


小さな子供の頃から好きだった良寛さんの影響が色濃く出ていて、笑う・・・。
埃まみれになった額を見ながら照れ臭く苦笑いをする・・・。


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世情を想う事がひとつ。
そして、もうひとつ・・・、
いよいよ迎えた中学3年生たちの受験を想いながら・・・、
ここに記してみたい・・・。


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労・惜しまずに働き
欲しがらず、与えられたものをただ喜んで
誰をも憎まず
誰をも恨まず
そして腹を立てず
おのれ可愛い心を捨てて
低い心で毎日暮らしていけますように


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お陰様で細々ながらも身を立て、
毎日シアワセに過ごさせて頂いている。
まったく書いた言葉の境地には至っていないのだけれど・・・。


埃を拭き、再び仕事部屋の壁に飾ろうと思う・・・。


かくありたいと日々願いながら・・・。