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娘(高3)は予備校・・・。
息子(高1)は野球部の練習で帰宅が遅い・・・。
カミさんと2人っきりの夜・・・。
なんだかな、爺さん&婆さんになった時に備えて、の、な、
予行演習みたいだにゃん・・・。
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「晩ご飯、どうしよっか?」
お、おう・・・。
たまにはにゃん、どっか外で食うか・・・。
カミさんの言葉に僕は答えた・・・。
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アッと言う間・・・。
子育てって、とっても大変なんだけれど、
大変だったんだけれど・・・、
アッと言う間・・・。
ふと気付くと、ね、
こうしてさ、あの頃みたいな2人ぼっちに戻ってしまっている・・・。
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そんなこんなでな、カミさんと2人で外食・・・。
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西武ドームの界隈・・・。
あのね、所沢近くの狭山丘陵のあたり・・・。
結構お洒落なレストランがいくつかあるんだよ・・・。
むかし、僕らはよ〜く出掛けたものだ・・・。
お洒落なレストラン・・・。
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もう20年も経ってしまったんだね・・・。
あの頃の僕の、
オンボロでシャコタンだったセリカXXは、
今、普通のワゴン車になっているのだけれど、
曲がりくねった道をハンドルを握り走っていると、
助手席に座るカミさんの横顔が、
その頃とちっとも変わっていないじゃね〜かという錯覚に陥る・・・。
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お洒落なレストランは健在で、
そして現在もなお、あの頃の僕らみたいな若者で賑わっている事がうれしい・・・。
駐車場だってね、昔のままだ・・・。
ただ、ハチロクもZも、
僕が大切に乗っていたXXも無い・・・。
綺麗でな、大人しい車ばかりが並んでいる・・・。
今の若者ってね、車にあまり興味がないらしい・・・。
それは聞いていたのだけれど、
それを今夜あらためて実感した・・・。
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お洒落なレストランの店内・・・。
わざと明かりを暗くしていて、
とっても雰囲気があるぞい・・・。
「ね、ワタシたちも恋人同士に見えるかしら?」ってな、
カミさんは瞳をキラキラさせて言う・・・。
う〜む、
残念なんだけれどにゃん、たぶん、見えないだろうと思うぜ・・・。
いかにも40代のゴリラのおっさんと、な、
山登りが趣味みたいなリュックを背負ったちっこいおばさんが、さ、
子育て終わっちゃったって風情そのまんまに見えるんだと思うぜ・・・。
僕は、そう思ったんだけれど、
それを言ったらカミさんは怒るだろうと考え、
見えるんじゃね〜か。って答えた・・・。
僕は、嘘つきだ・・・。
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料理は、美味しかった・・・。
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僕ら夫婦の隣のテーブル・・・。
二十歳そこそこだろう若いカップルが食事をしていた・・・。
聞くとはなしにその会話を聞く・・・。
耳をダンボにしちゃって僕は・・・。
彼女:「ねえ、ターくん・・・、
ワタシのどこが好き?」
おおおっ、なんという問い掛けだろうか・・・。
青春、まさしく青春だと言えようぞ・・・。
ターくん:「・・・、ぜ〜んぶさ。
ミッチのぜんぶが好き。」
ぬおおっ!すごいぞ!これ・・・。
こんな会話、僕ら夫婦だってな、した事ないぞ・・・。
がんばれよ!ターくん&ミッチ・・・。
ミッチ:「嫌々っ、そんな答えじゃ嫌っ。」
そ、そうだにゃん、ミッチ、
君が言わんとする事にも一理あるぞ・・・。
具体的にな、言ってほしいよな・・・。
ワタシのどこが好き?ってな、もっと具体的に、な・・・。
ターくん:「だってぜんぶなんだもん・・・。
ミッチのぜんぶが好きなんだもん・・・。」
う〜む、ターくん、
オマエ、結構イイ奴だろ?
オジサンな、オマエみたいな奴って好きさ・・・。
もっともっと会話してみな。
オジサンは君らの恋を肯定してやっから・・・。
わっはっはだ・・・。
な〜んだか妙に照れくさいんだにゃん・・・。
いいな、青春・・・。
いいんだよ、青春・・・。
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ターくんにとっては、さ、
ミッチが大切なんだろ?ベイベ・・・。
だったらな、テーブルの下で手を握れ!若人よ!
ミッチだってさ、ターくんが好きだろ?
ず〜っと一緒にいたいんだろ?ベイベ・・・。
だったらな、つないだ手を離すんじゃね〜ぞ!
ず〜っとず〜っと一緒にいるんだよ・・・。
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いいものを見た・・・。
見させてもらった・・・。
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なっ、
ミッチとターくんが夫婦になり、
きっと、ね、そこに子供がやって来る・・・。
その子供が野球を学んだりなんかしたらな、
まるっきり僕らの後輩じゃね?
アッと言う間の子育て・・・。
この2人ならばさ、きっとイイ夫婦になるような気がする・・・。
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わっはっは!
カキーン!だ!
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いい食事だった・・・。
なっ?