親父な歳時記。

どんよりとした曇り勝りの一日・・・。
秋の陽はつるべ落としとはよく言ったもので、
午後四時を過ぎると辺りはすっかり夕方の景色。


少々の買い物があり、
そんな夕方の景色の中を僕は出掛けた・・・。


ご近所の庭の、柿の木が気になる気になる。
丸く四角い大きな柿が、徐々に色づき始めている・・・。


甘いのかな?
渋いのかな?
柿・・・。
柿・・・。
柿〜ん!なんちゃって・・・。


「柿の色は、秋の色。」
昔、ご不自由な手のリハビリのために懸命に陶芸を習っていたおばあさんが言っていて、
僕はおもわず唸った事がある。


そうか、柿の色は、秋の色。


ならば、秋の色は、柿の色。
しばらく僕は、色づく柿を注目しながら過ごす事にしよう・・・。


耳を澄まし聞こえる物、
目を凝らして見える物。


目を凝らし聞こえる物、
耳を澄まして見える物。


季節を感じるとは、そういう事か・・・。


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つるべ落としの陽は落ち、
辺りは夜に包まれる・・・。


ほのかに灯り始めた街灯の光が暖かい・・・。


秋、
深呼吸をすると、
懐かしさや寂しさや人恋しさで胸がいっぱいになる・・・。


秋。