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敬老の日、
義母が過ごす施設の催し物へ夫婦で出掛けた。
ああ、会う度に切なさばかりが増す。
91歳になった義母は常に眠っていて、手を握り呼び掛けると目を開けてニッコリと笑う・・・。
どんな姿であってもいい、とにかく一日でも長く生き続けてほしいと僕は願う。
命は、まこと不思議なものだ。
91歳の義母の命も、娘のお腹の中の孫の命も、どちらも愛おしい。
とにかく生きていれば必ず小さくてもシアワセは感じられる。
命は不思議で、かけがえのない大切なものだ・・・。
日々をどう生きるか。
僕ら五十路の者たちにとって、それは重大な課題だ。
あのね、
こうして施設に暮らすお年寄りたちを見ると本当にそう思うのよ。
まだ元気なこの五十路のうちに、愛を撒く人になろう。
ただただ愛を周囲に分け続ける人になっておこう。
穏やかに、澄んで生きよう。
それを心に誓い、帰り際に義母の手をギュッと握った。
想いの他強い力で義母は握り返してくれた・・・。
その強い力が嬉しくて、僕はシアワセを感じた・・・。